民泊投資において立地を検討することは重要です。
思い入れがある土地で営業する場合は別として、立地の特徴をよく理解しないで始めると期待通りの収益を生むことが難しくなります。
立地の分析は詳細になればなるほど有効ですが、ここでは大まかに都市部と地方の違いについて紹介します。
また立地と同様に、どのくらいの規模(面積)の施設にするのかも大事です。
施設の収益は面積だけで決まるものではなく、客単価や稼働率・コストなどが複合的に絡んできます。
どのような規模の施設でどのように営業すればより利益が出るのか、施設の規模の決定は販売戦略に大きく影響するのです。
Step2では都市・地方の立地による違いと、施設の規模による販売戦略について解説します。
目次
1.民泊における都市と地方の特徴と相違点
民泊施設の立地は多くの宿泊客が見込まれる都市がいいのか、それとも土地の確保が比較的容易な地方がいいのか迷うところです。
都市・地方それぞれの特徴と相違点を、データによる客観的な視点で見ていきます。
なおこの章のデータは、観光庁「住宅宿泊事業の宿泊実績について(令和7年2月〜令和7年3月)」を参照しています。
1-1.都市の方が滞在期間が長い
宿泊客がどれだけ滞在(連泊)するかは、宿泊業にとって大事なデータです。
滞在期間が長ければ長いほど様々な業務が軽減され、結果的に利益率のアップが期待できます。
例えば予約業務は1泊分ずつ5泊受けると計5回の対応が必要ですが、1グループが5泊滞在すれば手間は1回で済み、労力は1/5です。
同様にチェックインやチェックアウト、清掃業務に掛かる労力も軽減されます。
では都市部と地方で滞在期間がどれくらい違うのかを比較してみましょう。
延べ宿泊日数を宿泊数で割ると、一人当たりの宿泊日数が求められます。
これによると東京都は3.7泊、東京に近い栃木県が1.4泊で、東京都が圧倒的に多いのが分かります。
その他京都府(2.7泊)・大阪府(2.3泊)・愛知県(2.0泊)・福岡県(2.1泊)と都市部で2泊以上になっているのに対し、福島県(1.3泊)・和歌山県(1.3泊)・佐賀県(1.4泊)など地方では2泊を超えるところは稀です。
1-2.地方は日本人客が多い
都市と地方で滞在日数に開きがあるのは、宿泊のインバウンド客比率が大きく影響しています。
「宿泊者の国籍別内訳」を見ると、東京都の全体の宿泊者数は165,756人でそのうちインバウンド客は138,080人、実に宿泊者の83%がインバウンド客です。
これに対し栃木県は宿泊者数5154人、内インバウンド客は688人でわずか13%の比率に留まります。
インバウンド客主体の都市(東京都)、日本人客主体の地方という構図が見てとれます。
1-3.ニーズを考察:利便性か非日常か
宿泊客のニーズを考察して立地を検討することが大事です。
一般的に都市の民泊を利用する人は、利便性と経済性を求める傾向があります。
公共交通機関が発達する都市では行きたいところにスムーズにいけるというメリットがあり、観光やビジネスの拠点として利用されています。
また滞在日数の長いインバウンド客にとっては、比較的安価な民泊に滞在することでコストが抑えられることも魅力の一つです。
一方で日本人の宿泊が多い地方の民泊施設には、現実の生活と離れた非日常が求められています。
日本ならではの原風景や温泉、地域の食材などを堪能しつつ宿泊する傾向です。
1-4.運営代行業者の選定は都市が有利
民泊投資は実際の業務を「運営代行業者」に任せることが効率的です。
運営代行は予約管理から宿泊対応・清掃までフルセットで請け負うところから、清掃のみなど様々な形態があります。
そして運営代行業者の選定は、地方より都市の方が有利です。
都市は運営業者数が多く、自分の運営方法にあったところを探しやすくなります。
また競争が激しいことから、コスト面でも有利に交渉することが可能です。
地方はそもそも運営業者が少ないために料金が高く、要望が通りにくい傾向にあります。
2.民泊施設の面積による販売戦略
民泊施設は小さい(小箱)方がいいのか大きい(大箱)方がいいのか、それぞれにメリット・デメリットがあり迷うところです。
民泊施設の大小は販売戦略に大きく関わってくるので、面積による違いをしっかりと把握しておく必要があります。
2-1.小箱施設:利便性とコストパフォーマンス重視
宿泊施設の売上は「客単価☓稼働率(宿泊数)」で求められます。
例えば1泊1万円6名定員で稼働率が100%とすると、「1万円☓(6名☓100%)」で売上は6万円です。
一方で1万5千円で稼働率が50%なら、「1万5千円☓(6名☓50%)」で4万5千円にしかなりません。
このことから宿泊料金を上げても、稼働率が低ければ売上は上がらないことが分かります。
収容人数が6人までの小箱施設の販売戦略は、客単価を低くして稼働率を上げることが効果的です。
都市部の駅近で内装などを工夫して低コストで運営し、稼働率を確保することで利益を上げていきます。
他施設との価格競争に巻き込まれる可能性はありますが、インバウンド客の需要増で十分カバーできると考えられます。
2-2.大箱施設:高付加価値化による単価アップ
収容人数8名以上の大箱施設は、稼働率が低い日が出てきてしまう可能性があります。
そこで売上構成のもう一つの要素である、客単価をアップする戦略が有効です。
一例として、施設を1組のみの貸切にして客単価を上げることが挙げられます。
10名の収容人員で通常単価1万円の施設が稼働率60%なら、「1万円☓(10名☓60%)」で売上は6万円です。
これを1グループ6名の利用で、「貸切」という価値をつけて単価を1万5千円にしたらどうでしょうか。
「1万5千円☓6名」で売上は9万円となり、150%アップが可能です。
宿泊するグループは一人当たり5千円高くなりますが、貸切のステータスを手に入れられれば満足度は高くなります。
また施設のデザイン性に凝り、インバウンド客用に日本を感じさせる設えなどがあると、宿泊すること自体に価値が生まれ、より高単価での販売が期待できます。
まとめ
Step2では、民泊投資における都市と地方の違い、さらに施設の面積について解説しました。
観光庁のデータは信頼性があり、2か月に1回最新版が更新されるので確認することをおすすめします。
それらのデータを活用することで方向性が明確になり、収益体質を高めることが可能です。